国立がん研究センターによるリリース → こちら
(写真は、平成28年1月20日の朝日新聞朝刊1面より)
これまで長期の追跡調査がなかったので価値あるデータなのですが、同時に、各メディアにドーンと出ているこの数字だけに振り回されないでほしいなぁ、と思います。
これは1999年〜2002年に診断された患者さんを調査したもので、
つまり16年前〜13年前に最初の治療を受けている方たちということです。
がん医療は本当に変わってきています。
5大がんプラスアルファの最新治療技術を取材し、
アップデートしつつまとめていますが、
とくにこの10年の、革新的な薬の登場、新しい治療法の確立は目覚ましいものです。
今回、5年後以降も下がると発表された乳がんと肝臓がんにしても、
乳がんは手術はもちろん、「分子標的薬」という新しいタイプの薬が進歩して、
より一人一人のがんの種類に合った治療法が確立されてきました。
肝臓がんについては、原因の約7割を占めるC型肝炎の全く新しいタイプの治療薬が近年登場し、
これから先、がんの原因としてのC型肝炎の治療が進めば、
肝臓がんも劇的に減ると言われています。
それらは一例ですが、つまり何が言いたいかというと、
医療は進歩していて、その効果が数字として表れるにはタイムラグがあるということで、
いま発表された数字はあくまでも目安であり、一喜一憂しないでほしいということです。
医療はサイエンスであると同時に、私たちにとっては社会で生きていく中での関心事。
数字の“意味するところ”を読み取る力を持てるよう、普段から関心を持つことが大切です。
また、テレビや週刊誌、書籍等の刺激的なタイトルやことばに惑わされることなく、
面白味はないとしてもバランスよい正確な情報に、
ぜひ耳を傾ける習慣をもっていただければと思います。
ちなみに、がん患者数、年齢、治療成績の傾向などを蓄積してデータとして活かしていくために、
がんと診断された人の必要なデータを病院が報告する「がん登録」が義務づけられました。
これは大切なことです。このがん登録により、
今後データの比較なども精度が上がっていくことが期待されています。
そして、がんについていえば、何よりも早期発見が大切であるということは、不変です。
症状がないうちに定期的に検診を受け、自分の身体の変化に興味を持ってほしいと思います。
そして、適度な運動、バランス良い食事、過度な飲酒を控える、禁煙など、
当たり前のことを当たり前にできるように心がけることが大切ですよね。
もちろん、わたしも(^^;; はい、過度な飲酒を控えます。